夜間や休日のインターネットのシステム監視業務は、監視・断続的労働や宿・日直に該当するでしょうか
弊社は、インターネットのサービスを提供するプロバイダですが、24時間365日体制を組んでいます。
現在4人が1週間ごとに交代で、平日は17:30?翌朝9:00、休日は9:00?翌朝9:00の間、ノートパソコンを持って待機しています。
待機場所は、インターネットに接続できる場所であれば、会社でなくてもよいことにしていますが、1日3回定時監視業務を行っています。
通常の1回当たりの作業時間は、15分?30分程度ですが、トラブルがあれば数時間を要します。
また、定時監視以外に障害が検知されると、コンピュータの自動監視装置からポケベルに自動呼び出しがかかります。
最近は、平日でも1回以上は呼び出しがかかり、トラブルによっては、その保守作業が深夜に及ぶこともあり、休日は1日に数回以上障害が発生することもあります。
現在、平日は1,500円、休日は5,000円の手当をつけるほか、作業時間が長くなったときは、残業代を支払っています。
このような場合、どこまで労働時間となるのでしょうか。
また、宿・日直や監視・断続的労働の許可を受けることができるでしょうか。
上記「夜間や休日のインターネットのシステム監視業務は、監視・断続的労働や宿・日直に該当するでしょうか」に対する回答
ご質問のケースは、労働基準法上の監視・断続的労働には該当しないものと思われますので、定時監視の時間と呼び出しがかかって実際に作業をした時間については、時間外(休日)労働割増賃金と深夜労働割増賃金を支払わなければなりません。
なお、実際に作業をしない自宅待機の時間については、労働時間にはなりませんが、この時間も実質的には拘束状態にありますので、宿・日直の場合に必要な手当(通常の賃金の3分の1以上)を目安に、一定の手当を支払うことが望ましいでしょう。
労働基準法第41条では、「監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可をうけたもの」(同条第3項)については、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用を除外することとしていますが、行政通達では、監視労働とは「一定部署にあって監視するのを本来の業務とし、常態として身体又は精神的緊張の少ないもの」(昭63.3.14基発第150号)、断続的労働とは「休憩時間は少ないが手待時間が多い」(前掲通達)ものとしており、この基準に該当しない場合には監視・断続労働として許可しないこととされています。
また、「宿直又は日直の勤務で断続的な業務」についても行政官庁の許可が必要とされていますが、ここで宿・日直とは、ほとんど労働をする必要のない勤務、すなわち、「定時的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするもの」(前掲通達)のことをいい、「一定期間における勤務が頻繁にわたるものについては許可を与えない」(昭23.1.13基発第33号)とされています。
実際に監視・断続的労働や宿・日直に該当するかどうかは、以上の基準に照らして判断されるわけですが、ご質問のケースは、監視・断続的労働や宿・日直の許可を受けることは難しいと思われます。
このように、監視・断続的労働に該当しないとなると、どこからどこまでが労働時間となるかが問題となります。
ご質問では、1日3回の定時監視(1回15分?30分)のほか、平日の夜間でも1回以上、休日には数回以上呼び出しがかかり、作業に長時間を要することもあるとのことですが、この場合、定時監視業務を行ったり、トラブル処理を行った時間が労働時間となるものと考えられます。
また、定時監視業務以外に、障害が検知されたためにポケベルで呼び出され、トラブル処理をした場合にも、その時間は労働時間となります。
したがって、実際に作業に要した時間(定時監視業務の時間を含む)を把握し、その時間に対して時間外労働割増賃金または休日労働割増賃金を、また、深夜に作業が行われた場合には、深夜労働割増賃金の支払いが必要となります。
ご質問では、ノートパソコンを持って待機しており、定時監視やトラブル処理はどこでもできるとのことですが、実際には自宅等で作業をした時間を把握することは困難と思われますので、実際の作業に要した時間をしかるべき方法で申告させることが必要となるでしょう。
なお、上記の実作業時間を除く自宅待機の時間については、原則として労働時間とはなりません。
しかし、実質的にはこの時間も拘束状態にありますので、何らかの補償が必要かと思われます。
その場合、宿・日直の際に支払うべき手当(通常の賃金の3分の1以上)を目安にするとよいでしょう。
カテゴリー:労働時間
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