休憩時間は完全に、自由利用を保障しなければならないのでしょうか?

 休憩時間の自由利用は絶対的なものでしょうか。

 一定の範囲で制約できるとも聞いていますが、その場合の許される「制約」の基準とは、具体的にどのようなものですか。

上記「休憩時間は完全に、自由利用を保障しなければならないのでしょうか?」に対する回答

 休憩時間の自由利用といっても全くの自由ではなく、休憩の目的を損わず、かつ、制約を加えることに合理性が認められる場合には、一定の範囲で制約を加えることができるものと解されています。

 労働基準法第34条第3項は、「使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない」と定めています。

 しかし、休憩時間が就労する義務のない時間であるといっても、休日や休暇とは異なって拘束中の時間ですから、完全な自由が認められるわけではありません。

 休憩時間は使用者の拘束から完全に解放されたわけではなく、休憩後の引き続く労働を前提としていることを前提としているからです。

 具体的な「制約」の基準には、
1.施設管理上の制約、
2.労働規律上の制約、
3.集団的な企業秩序維持上の制約
 などが考えられます。

 したがって、たとえば、「休憩時間中に会社の施設から外出する場合には、上司に届け出なければならない」といった就業規則の規定は違法とはならないと解されています。

 この点について、行政解釈では、「休憩時間の自由利用について事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を損わない限り差し支えない」(昭22.9.13発基第17号)とし、また、「休憩時間中の外出について、所属長の許可を受けさせるのは、労働基準法第34条第3項に違反するか」の問いに対して、「事業場内において自由に休息しうる場合には、必ずしも違法にはならない」(昭23.10.30 基発第1575号)としています。

 また、裁判例でも、「休憩時間を自由に利用させることを使用者に命じているのは、労働者に義務を課すなどしてその休憩を妨げることを禁じたもので、労働者が休憩時間中いかなることをしても自由だとしたものではない」(昭42.10.25東京地裁判決「日本ナショナル金銭登録機事件判決」参照)と、休憩時間の利用には、一定の制約があるとしたものがあります。

 以上のように、休憩時間の自由利用とは、全く個人の自由が優先されるということではなく、「労働からの解放」という休憩の目的を損わず、合理性が認められる場合には、一定の範囲で制約を加えることができるものと解されています。

カテゴリー:労働時間

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