女性社員に限定してマナーアップ研修を受講させることはできますか?

 女性社員全員(職種による区別はありません)を対象にしたマナーアップ研修を行うことは可能でしょうか。

上記「女性社員に限定してマナーアップ研修を受講させることはできますか?」に対する回答

 マナーアップ研修の対象を「女性社員のみ」とすることは、男女の仕事を分離することにつながり、均等法に抵触します。

 男女雇用機会均等法(以下「均等法」という)第6条では、「事業主は、労働者の配置、昇進及び教育訓練について、労働者が女性で あることを理由として、男性と差別的な取扱いをしてはならない」と、教育訓練についても女性であることを理由とした男女異なる取扱いをすることを禁じています。

 ここでいう女性労働者に対する差別とは、「女性を排除したり、女性を不利に取り扱うことのみならず、女性のみを対象とした措置や女性を有利に取り扱う措置」(平10.6.11女発168号)も原則として含むものとされています。

 なぜなら、「女性の職域の固定化や男女の仕事を分離することにつながり、女性に対する差別的効果を有する」(前掲通達)と考えられるからです。

 ただし、同法第9条では、教育訓練(および募集、採用、配置、昇進)に関し「事業主が、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行う措置を講ずることを妨げるものではない」としています。

 これは、過去における制度や慣行が原因となって雇用の場において男女労働者の間に事実上の格差が生じており、それを改善することを目的として、女性のみを対象とした措置、または男性と比較して女性を有利に取り扱う措置を認めたものです。

 したがって、たとえば、女性がいない、または男性労働者と比較して相当程度少ない職務へ女性を配置するために、その職務に従事するに当たって必要とされる能力を付与する教育訓練の対象を女性のみとしてを実施することは認められるわけです。

 しかし、ご質問の研修は、男性労働者との格差を改善するための措置というよりも、むしろ、男女の固定的な役割分担に根ざすこれまでの企業における慣行を踏襲する措置と思われます。

 したがって、「女性社員のみ」を対象にマナーアップ研修をすることは、女性に対する差別に該当し均等法に抵触します。

 もし、ご質問のような研修を実施するのであれば男女ともに行わなければなりません。

 その場合、「女性には受講を義務づけ、男性は任意」という取扱いも差別に該当するのでご注意ください。

カテゴリー:女性の雇用

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