転居のため新幹線通勤を希望する者に通勤手当を支払わないことができるでしょうか?

 当社の通勤手当支払細則には、距離や時間の制限が明記してありませんが、ある社員が在来線で通勤すると4時間以上かかる地域に転居し、在来線に平行して走る新幹線で通勤したいと言ってきました。

 特急料金は自分で支払うと言っていますが、このような場合、通勤不能と認定して、在来線に要する交通費相当の通勤手当の支払を打ち切ることができるでしょうか。

上記「転居のため新幹線通勤を希望する者に通勤手当を支払わないことができるでしょうか?」に対する回答

 通勤手当支 払細則に、通勤手当の上限が定められていないのであれば、通常の通勤手当の支払い基準に準じて通勤手当を支払わなければなりません。

 しかし、前例がないのであれば細則の見直しをして、通勤手当の支給額に上限を設けるようにしてもよいでしょう。

 一般に、通勤手当は、「非課税限度内で支給する」とする企業が多いようですが、近年大都市にある企業では、持家取得地域の拡大に伴う通勤距離の延長や新幹線通勤の普及などによって、非課税限度を超える場合にも特例を設ける企業も増えています。

 特に、転勤のため単身赴任となった場合には、単身赴任用の住居が必要になるばかりか、年何回かの帰省の費用や単身赴任手当(別居手当)などと経費がかさみます。

 もし、新幹線通勤ができる地域であれば、新幹線通勤の費用を負担しても、単身赴任より経費が少ないといったことも実際には少なからず見受けられます。こうした事情から、新幹線通勤を認める企業が増え、また、税法上も非課税限度額が10万円までに引き上げられています。

 しかし、ご質問の場合は、転勤による遠距離通勤とは異なり、本人の意思による遠距離通勤のようですが、細則等で、通勤手当の限度額等について定めがないのでしたら、原則通勤手当を全額支払わなければなりません。

 しかし、これまで、前例がないようでしたら、新たに基準を定めてもよいと思われます。

 その場合、
1.転勤等、会社都合による場合は、特急券を含めた全額を、
2.転居等個人の都合による場合は在来線に要する金額までを支給する
 というように定めます。

 なお、この場合、いずれも非課税限度額までと上限を定めてもよいでしょう。

 ご質問では、特急券は本人負担とする旨申出ているとのことですので、非課税限度額の範囲内であれば、通勤手当を支給しないとの合理的な理由はないものと思われます。

カテゴリー:諸手当

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