住宅手当を3ヵ月や半年に1回支払った場合にも、割増賃金の基礎賃金なりますか?

 住宅手当を3ヵ月とか半年に一度支給することにすれば、「1ヵ月を超える期間ごとに支払われた賃金」に該当し、割増賃金の算定の基礎となる賃金から除外することができるのでしょうか。

上記「住宅手当を3ヵ月や半年に1回支払った場合にも、割増賃金の基礎賃金なりますか?」に対する回答

 1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金については、割増賃金の算定基礎となる賃金から除いてよいことになっていますが、住宅手当は何ヵ月分をまとめて支払うことにしても除外することはできません。

 労働基準法及び同法施行規則では、割増賃金の算定の基礎から除外してもよい賃金として、
(1)家族手当、
(2)通勤手当、
(3)別居手当、
(4)子女教育手当、
(5)臨時に支払われた賃金、
(6)1ヵ月を超える期間ごとに支払われた賃金
 の6つをあげています。

 このうち、(1)?(4)は、それらが労働と直接関係のない手当であること、また、家族数や距離などの客観的な基準に応じて支給される手当であること等が勘案されたものと考えられます。

 また、(5)と(6)については、割増賃金が毎月精算される賃金であることから、その計算技術上なじまないものとして、算定基礎から外されたものと思われます。

 この点で、住宅手当も労働と直接関係のない手当ですが、実際の家賃に関係なく一律の額が支払われることが多く、家族手当や通勤手当のように個人的事情が反映されていないため、現行法令では、割増賃金の算定基礎となる賃金に含めるものとしています。

 以上を前提に、ご質問の場合のように住宅手当を3ヵ月とか半年に1回支給すれば、(5)の「臨時に支払われた賃金」か、(6)の「1箇月を超える期間ごとに支払われた賃金」に当たるかどうかについて考えてみましょう。

 まず、「臨時に支払われた賃金」とは、結婚祝金など、恩恵的、臨時的に支払われる賃金のことをいい、住宅手当のようにあらかじめ支給することを定めた賃金は、仮に3ヵ月分をまとめて支給してもこれには該当しません。

 次に、住宅手当を3ヵ月とか半年分をまとめて支払った場合、「1箇月を超える期間ごとに支払われた賃金」として取り扱うことができるかどうかについて見てみましょう。この点について労働基準法施行規則では、臨時に支払われる賃金と賞与以外に、次の3つの賃金についても例外的に割増賃金の算定基礎となる賃金から除外できるものとしています。

(1)1ヵ月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当

(2)1ヵ月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される勤続手当

(3)1ヵ月を超える期間にわたる事由によって算定される奨励加給又は能率手当

 住宅手当は以上の例外に含まれませんし、また、通常、家賃は1ヵ月に一度納めることが慣習なっていますので、その性質上、毎月支給すべきものと考えられます。

 したがって、住宅手当を実際に3ヵ月に1回まとめて支給している場合にも、その3分の1を、月々の算定の基礎に組み入れて割増賃金を計算しなければならないことになります。

カテゴリー:諸手当

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