適格年金の積立金を解約して、賞与に充当してもよいでしょうか?

 当社では最近、資金繰りが切迫し、賞与原資の確保が困難となっていますので、生命保険会社に預託している税制適格年金の積立金を解約し、その一部を賞与に充当ししたいと考えています。

 この措置は、法律に抵触するのでしょうか。

上記「適格年金の積立金を解約して、賞与に充当してもよいでしょうか?」に対する回答

 社外積立型の退職金原資を解約することは違法ではありませんが、解約の払戻金を事業主が受け取ることは認められておりません。

 ご質問には、

1.生命保険会社との社外積立金に関する契約を資金繰りが切迫しているという理由で解約することができるか、

 また、

2.解約返戻金の一部を賞与の支払いに充てることができるか、

 という2つの問題があります。

 まず、資金繰りが切迫しているという理由で社外積立金を解約することができるかどうかという問題ですが、契約当事者が事業主である以上、事業主の意思によって社外積立金契約を解約することはできます。

 したがって、資金繰りが切迫しているという理由であっても事業主の判断によって解約することはできるわけです。

 次に、解約返戻金の一部を賞与に充当することができるかどうかという問題ですが、生命保険会社等と適格年金の契約をする際の要件の一つに、退職金の積立ては退職金の支給のみを目的とするとしたものがあります(法人税法施行令第159条参照)ので、解約返戻金を賞与に充当するという措置は、退職金を外部に積立てる趣旨に反します。

 また、同要件には「解約払戻金の従業員の帰属」として、解約した場合の払戻金は加入従業員に支払うこととされておりますので、事業主が払戻金を受け取ることは認められません。

 税制適格年金(以下「適格年金」という)を解約したときは、今後、貴社の従業員が退職した際に退職金規程に則った退職金を支払うことができなくなる可能性がありますので、何らかの形で退職金保全措置を講じる必要があります。

 この点について「賃金の支払の確保等に関する法律」では、退職金規程等によって退職金を支払う旨を定めている場合には、退職金の支払いに充てるべき原資のうち、一定額について、保全措置を講ずるべく努力義務を課していますので、貴社が適格年金契約を解約した後も、退職金を支払えるよう保全措置を講じるよう努めて下さい。

カテゴリー:退職金

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