退職金制度がない場合、法律違反でしょうか?

 当社には、現在退職金制度がありませんが、法律違反でしょうか?

 また、退職金制度を導入した場合、退職金支払いのための原資は企業で積み立てなければならないでしょうか?

上記「退職金制度がない場合、法律違反でしょうか?」に対する回答

 退職金制度を設けるか否かは任意です。

 また、退職金制度を導入する場合は、一定の「退職金の保全措置」を講じる必要があります。

 まず、退職金制度がない場合に、法律に違反するかどうかについてですが、結論としては、退職金制度は必ず設けなければならないものではありませんので、退職金制度がない場合でも法律違反とはなりません。

 これは、労働基準法第89条に定める就業規則の記載事項のなかで、「退職手当の定めをする場合においては」、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項を定めなければならないとしており、退職手当の定めをするか否かは任意とされていることによります。

 次に、退職金制度を設ける場合の支払いの原資については、「賃金の支払の確保等に関する法律」(以下「賃確法」という)第5条で、「事業主は、労働契約又は労働協約、就業規則その他これらに準ずるものにおいて労働者に退職手当を支払うことを明らかにしたときは、当該退職手当の支払に充てるべき額として労働省令で定める額について、第3条の厚生労働省令で定める措置に準ずる措置を講じるように努めなければならない」と定めています。

 具体的には、保全の措置を講じることを要する額は、原則として、労働者の全員が自己都合により退職するものとして仮定して計算した場合に退職手当として支払うべき金額の見積り額の4分の1に相当する額以上の額とされています(賃確法施行規則第5条)。

 また、保全措置の内容は、
1.銀行その他の金融機関との間に、退職手当の支払にあたって要保全額以上の額について保証する契約を締結すること、
2.要保全額について、労働者を受益者とする信託契約を信託会社と締結すること、
3.労働者の事業主に対する退職手当の支払に係る債権を被担保権とする質権または抵当権を要保全額について設定すること、
4.一定の要件を満たした退職手当保全委員会を設置すること、のいずれかとされています(賃確法施行規則第5条の2)。

 ただし、中小企業退職金共済法に基づく退職金共済契約(通称「中退金契約」)を締結する場合、適格退職年金契約を締結する場合、厚生年金基金に加入する場合には、上記の保全措置を講じる必要はありません(賃確法施行規則第4条)。

カテゴリー:退職金

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