退職金の支払期日は必ず決めておかなければいけませんか

 退職金制度の全面的見直しをして、退職金規程を新しく作りたいのですが、退職金の支払期日を定めておく必要があるでしょうか。

上記「退職金の支払期日は必ず決めておかなければいけませんか」に対する回答

 就業規則や退職金規程で退職金について定める場合は、退職金の支払い期日についても必ず定めておかなければなりません。

 退職金は、労働基準法上は「臨時に支払われる賃金」とされており、退職金制度を設けるかどうかは事業主の任意です。

 しかし、退職金制度を設ける場合には、就業規則に退職手当に関する事項を必ず記載しなければなりません。

 そして、退職金について就業規則等に定める場合には、賃金に関する事項と同様に、

(1)適用される労働者の範囲、
(2)退職手当の決定、計算及び支払いの方法、
(3)退職手当の支払い時期

 の三つについて定めておかなければなりません。

 このように、退職金も賃金の一種として扱われており、退職金制度を設ける際は、退職金の支払い時期についても必ず決めておかなければならない事項とされています。

 支払い期日については必ずしも支給月日まで特定しておく必要はなく、例えば、「退職金は、原則として退職の日から1ヵ月以内に支給する」などのような定め方でも差し支えありません。

 しかし、退職金も賃金の一種としますと、このような定めは「使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、七日以内に賃金を支払」うことを義務付けた労働基準法の規定に抵触するのではないか、という疑問が生じます。

 この点については、裁判例のなかに、上記の規定(労働基準法の規定)は、使用者が負担する賃金債務で既に履行期の到来したものについて定めたものであるから、退職金を退職後1ヵ月以内に支払うという就業規則の規定は、労働基準法に反しないと判示したものがあります。

 なお、適格退職年金制度(注)等を利用している会社で、取り扱い金融機関での事務処理上、明確な支払い期日を定めることができないことがある場合には、「会社は、従業員の退職後速やかに適格退職年金の支給手続きをする」などのように定めておくことで差し支えありません。

(注)
 これは信託銀行、生命保険会社、生命共済、全国共済農業協同組合連合会の4つの金融機関で取り扱っていますが、信託銀行は従業員100 人以上、生命保険会社は15人以上などのように、取扱い基準が異なります。

カテゴリー:退職金

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