就業規則で定年制を設ける際の定年の日と退職日との関係について教えて下さい

 当社の就業規則では、「60歳に達した日をもって定年退職とする」と定めていますが、先般、定年と退職日についての関係をどう考えたらいいかが問題となりました。

 そこで、お尋ねしますが、60歳に達した日を定年とするという規定がある場合には、60歳の誕生日の前日を退職日と考えることができるのでしょうか。

上記「就業規則で定年制を設ける際の定年の日と退職日との関係について教えて下さい」に対する回答

 定年制を設ける場合は、満60歳以上としなければなりませんが、年齢計算ニ関スル法律及び民法の定めでは、60歳に達する日とは、60歳の誕生日の前日をいうこととしています。

 したがって、「60歳の定年に達した日をもって退職とする」と定めた場合には、60歳に達した日すなわち誕生日の前日をもって退職日としても問題はありません。

 就業規則の定め方には、
「60歳に達した日をもって定年退職とする」
「60歳に達した日をもって定年退職とする」
「定年に達した日の属する月(給与計算の締切日)をもって退職とする」
「定年に達した月の属する年度の末日をもって退職とする」
 などのように、様々な定め方がありますが、定年年齢については、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律で、「事業主がその雇用する労働者の定年(以下単に「定年」という)の定めをする場合には、当該定年は60歳を下回ることはできない」(同法第4条)と定められていますので、60歳を下回る年齢を定年として定めることはできません(ただし、鉱業法第4条に規定する事業における坑内作業の業務を除く)。

 そこで、ご質問のように、「60歳に達した日をもって退職とする」と定めた場合に、退職日を誕生日の前日とすると、この規定に違反する(60歳に達していないのに定年退職させることになるのではないか)という疑問が生じます。

 この点について、年齢計算ニ関スル法律では、年齢の計算については、「民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス」としており、その根拠となる民法第143条第2項では、「週、月又ハ年ノ始ヨリ期間ヲ起算セサルトキハ其期間ハ最後ノ週、月又ハ年ニ於テ其起算日ニ応答スル日ノ前日ヲ以テ満了ス但月又ハ年ヲ以テ期間ヲ定メタル場合ニ於テ最後ノ月ニ応答日ナキトキハ其月ノ末日ヲ以テ満期日トス」と定めていますので、60歳に達する日とは、応答日である誕生日の前日ということになります。

 したがって、60歳の誕生日の前日に60歳に達するわけですから、「60歳の定年に達した日をもって定年退職とする」とする定めがある場合には、定年に達した日すなわち誕生日の前日を退職日としてもよいわけです。

カテゴリー:就業規則

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