労働協約で労働条件が定められていても、就業規則の作成が必要ですか?

 当社には、課長職以上の管理職をのぞく全社員を組合員とした労働組合があり、その組合と各種労働条件を盛りこんだ労働協約を締結しています。

 このような場合でも、別途就業規則を作成する必要があるでしょうか?

上記「労働協約で労働条件が定められていても、就業規則の作成が必要ですか?」に対する回答

 労働者数が10名以上なら、労働協約とは別に必ず就業規則を作らなければなりません。

 労働協約は、労働組合と使用者(または使用者団体)との間で締結されるもので、書面に作成し、両当事者が署名または記名押印することで、効力が生じます。

 また、労働協約に定める内容は、法令に反しない限り、労使の任意とされています。

 労働協約の様式は、組合活動、人事、労働条件、労使関係といった企業内の労使・労働関係のすべてにわたる事項を体系的に定めた“包括協約”と、個々の事項について定めた“個別協約”の2種類に大別されます。

 ところで、就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、作成と届出が義務づけられていますが、この義務は、労働協約がありそれに労働条件の定めが盛りこまれている場合にも免れるものではありません。

 また、その労働協約が、労働者の過半数で組織された労働組合との間で結ばれたものであっても同じことです。

 では、労働協約に詳細な労働条件が盛りこまれている場合であっても、就業規則に同じような内容を重複して記載しなければならないのでしょうか。

 この点については、労働協約の各条にそのまま就業規則の内容となりうるような具体的な労働条件が定められている場合には、労働協約との重複事項を省略してもさしつかえないこととされています。

 そのときには、「所定労働時間は、労働協約第○章第○条の定めによる」などのように、就業規則の中に引用したい労働協約の各条文番号を明示します。

 この場合、就業規則の届出に際しては、労働協約を就業規則の付属文書として添付します。

 このように、労働協約の記載事項の一部を就業規則に援用することは認められますが、その場合にも就業規則として作成されたものでなければなりません。

 なお、個別協約には、「組合活動に関する協定」、「給与や賞与に関する協定」、「労働時間や休日や休暇に関する協定」、「退職金に関する協定」、「福利厚生に関する協定」などのように、「協定」の名称が用いられることもありますが、要件を備えてさえいれば、労働協約であることに変わりありません。

カテゴリー:就業規則

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