変更した就業規則は、行政官庁に届け出なければ、無効ですか?

 このたび就業規則を変更しました。作業に思ったより時間がかかったため、労働基準監督署への届出をしないまま、すでに実施しています。

 この就業規則には、効力はないのでしょうか。

上記「変更した就業規則は、行政官庁に届け出なければ、無効ですか?」に対する回答

 社員に知らせ(周知し)た時点から、一応有効になります。
 しかし、行政官庁への届出義務の履行を怠っていることは違法です。

 就業規則を作成、変更する場合には、次の三つの手続きが必要になります。

(1)従業員代表の意見聴取。これについては別のQを参照してください
(2)行政官庁への届け出。この場合の行政官庁とは、所轄の労働基準監督署長のことで、届け出は就業規則のほか、就業規則届に、従業員の過半数で組織された労働組合、または従業員の過半数を代表する者の意見書を添えます。
(3)従業員への周知。労働基準法では、就業規則を作業場の見やすい場所に掲示したり、備え付ける等の方法で、従業員に周知させなければならないものとしていますが、これは、就業規則が従業員の雇用と就業に関する事項、すなわち、服務事項や労働条件を定めたものであることから、従業員へ周知することを義務づけたものです。

 では変更した就業規則は、この三つの手続きのうち、いつから有効になるのでしょうか?

 就業規則の効力が上記の三つの手続きのうち、どの時点から発生するかについては、学説は分かれていますが、従業員に周知された時点から有効になるというのが多説となっています。

 つまり、意見聴取や行政官庁への届け出がされていなくても、従業員に知らされていれば、有効ということです。

 ただし、就業規則を作成したり変更する際には、上記の三つの手続きが必要であり、それをしなくてもよいということではありません。

 これらの手続きを怠った場合には、法違反となりますので、注意してください。

カテゴリー:就業規則

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