会社が買収される場合、労働・社会保険に関してどんな手続きをしなければならないのでしょうか?

 当社はこの度、ある会社から株式の売買によって買収されることになったのですが、この場合の労働保険・社会保険の手続き等はどのようになるのでしょうか。

 買収にともなって社名が変更されますが、事業内容、事業所の所在地その他ほとんど従前と変わりません。

 なお、健康保険は政府管掌です。

上記「会社が買収される場合、労働・社会保険に関してどんな手続きをしなければならないのでしょうか?」に対する回答

 労働基準監督署、公共職業安定所および社会保険事務所にそれぞれ社名変更の届出をする必要があります。

 企業間競争がますます激化し、大企業同士の「大型合併」や「M&A」といった報道が新聞紙上を賑わしていますが、これらはなにも大企業の専売特許ではなく、中小零細企業の間でも盛んに行われています。

 ところで、M&Aとは、Merger(合併)とAcquisition(買収)のことをいいます。

 このうち、Mすなわち「合併」には、吸収合併と新設合併があり、いずれの場合も二つ以上の法人格が一つになることをいいます。

 一方、Aすなわち「買収」には、株式を取得して子会社にする株式取得による買収と、会社の財産・営業権などを買い入れて自社の中に取り込む営業譲渡による買収とがあります。

 さて、こ質問では、「株式の売買によって買収された」とされていますので、株式取得によって買収されることとなったものと思われますが、株式取得による買収の場合にも、オーナーの交代以外、社名、事業内容その他基本的になんら変更しないケースもあれば、社名や事業内容その他を大きく変更するケースもあります。

 貴社の場合には、社名が変更するものの「事業内容、事業所の所在地その他ほとんど従前と変わらない」とのことですので、労働保険や社会保険の手続きに関しては、社名変更の手続きのみで済みます。

 まず、労働保険関係の手続きのうち、労災保険については、所轄労働基準監督署に「労働保険名称、所在地等変更届」を、また、雇用保険については、所轄公共職業安定所に「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出します。

 また、社会保険(健康保険・厚生年金)関係の手続きとしては、所轄社会保険事務所に「適用事業所所在地名称変更届」を提出することになります。

 その際、変更前の社名と変更後の社名の第1音が変わる場合(例えば、「東京工業」の"と"から、「日本工業」の"に"に変更されたときなど)には、社会保険の「事業所記号」が変更されますので、全社員の健康保険証を集めて社会保険事務所に提出し、あらたな健康保険証を交付してもらう必要があります。

 しかし、第1音が変わらない場合には、事業所記号は変更されませんのでこの手続きは必要ありません。

 上記の届出に際しては、登記簿謄本(の写し)の提出が求められ、これ以外にもいくつかの証明書類の添付を求められることがありますので、詳しくは、それぞれ所轄の行政官庁に確認して下さい。

 また、ご質問の文面からはわかりませんが、買収時に代表者が交代する場合には、労働保険・社会保険とも、それぞれ、事業主変更届が必要となります。

 なお、以上の労働・社会保険関係の手続きのほか、税務関係の届出も必要となりますので、所轄の税務署(国税局)と都道府県民税務事務所へ照会して下さい。

カテゴリー:社会保険

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