出向社員が転籍した場合の社会保険料は、いつから控除すればよいですか?

 今年1月4日付で、出向社員Aが当社に移籍することになりました。

 1月末の給料から満額の社会保険料を控除しなくてはならないのでしょうか?

 なお、当社の給与は、10日締めの当月末払いですので、当月分から控除すると、Aの手取りはわずかとなってしまいます。

上記「出向社員が転籍した場合の社会保険料は、いつから控除すればよいですか?」に対する回答

 社会保険料は、原則として被保険者となった日の属する月の翌月に支払われる給与から控除することになります。

 健康保険法では、社会保険料の報酬からの控除について、
「事業主ハ被保険者ニ対シ金銭ヲ以テ報酬ヲ支払ウ場合ニ於テハ被保険者ノ負担スベキ前月分ノ保険料ヲ報酬ヨリ控除スルコトヲ得」(第78条第1項)と定めています。

 つまり、当月の保険料は翌月支給の給与より控除するように定められています。

 Aさんの場合には、1月になって入社したのですから、2月に支給する給与から控除することになります。

 前述のとおり、法律では当月の保険料は翌月支給の給与より控除する(翌月徴収)ことを原則としていますが、給料の支払日の関係で、当月の保険料を当月の給料から控除する(当月徴収)ほうがより適している場合もあります。

 例えば、貴社のような場合です。当月の保険料は翌月の末に保険者(社会保険事務所または健保組合)へ納付の義務がありますが、従業員から保険料を控除するのも翌月支給の給与からということになると、保険者への支払いが、保険料の徴収時期より先になることがあるため、一時立替え払いをすることになるからです。

 前の健康保険法の定めでは、「被保険者ノ負担スベキ前月分ノ保険料ヲ報酬ヨリ控除スルコトヲ得」としており、絶対に翌月分から控除しなければならないとはしていません。

 したがって、貴社の給与支払日が末日であることを考慮すると、当月分から控除してもよいことになります。

 しかし、従来から在籍する社員の保険料を翌月徴収としている場合には、それに揃えないと、従業員によって取扱いが異なり、繁雑になります。

 貴社で現在採用している徴収方法が、当月徴収なのか翌月徴収なのかによって、それに揃える必要があります。

 なお、翌月支給の給与から控除する場合、退職者に関しては、退職時に退職日が月の末日のときは、前月分と当月分の2ヵ月分の保険料を控除しなければならないことに注意して下さい。

カテゴリー:社会保険

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