労働契約書の社長印は印刷したものでもよいのでしょうか?
当社では、毎月、数百人単位のパートタイマーを新規雇用しています。
雇用時には労働契約書を締結しており、その際、社長印を手で押しているのですが、あまりに数が多いためできれば社長印を印刷に替えたいと思っています。
何か問題はあるでしょうか。
上記「労働契約書の社長印は印刷したものでもよいのでしょうか?」に対する回答
労働契約書の社長印は、印刷したものでも特段の問題ありません。
民法では、契約は、一方の「申込み」に対して、他方が「承諾」することによって成立することとしていますが、労働契約の場合も同様です。
つまり、労働者からの申込みに対して会社が承諾した場合または会社からの申込みに対して労働者が承諾した場合に労働契約が成立するわけです。
ここで、労働者と会社は、申込者にも承諾者にもなりえるわけですが、承諾者としての「承諾」の意向を相手方に明示するために一般に用いられているのが、書面に署名または記名押印するという手続きであり、その際の書面が「労働契約書」です。
ところで、民法は、契約の成立要件である(申込みに対する)「承諾」行為を書面によって行うことを求めてはいません。
したがって、労働契約の成立要件である労働者と会社の双方または一方の「承諾」行為も、必ずしも書面で行う必要はなく、口頭で行ったものでも、その意向が相手方に明確に伝達されれば、その時点で労働契約は成立します。
このように、労働契約の成立に労働契約書等の書面の作成は必ずしも必要ありませんが、民法の特別法である労働基準法第15条第1項は、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間」その他の命令で定める労働条件を書面で明示しなければならないこととしていますので、会社があらたに従業員を雇い入れる際には、労働契約書または労働条件通知書等の労働条件を明示する書面の作成が欠かせないことになります。
ただし、ここで労働基準法が要求しているのは、雇入れに際する「労働条件」を労働条件通知書等の書面を交付して行うということであり、その書面に、社長印等を押印することを要求するものではありません。
したがって、ご質問のように、社長印を印刷した労働契約書を用いても、何ら問題ありません。
カテゴリー:採用・雇用
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