管理職の賃金について、労働組合に開示する必要がありますか?

 当社では、管理職の賃金については、経営の専権事項として、管理職以外には開示しておりません。

 ところが、この度、労働組合より管理職の賃金について開示要求がありました。

 労働組合のいうように、管理職の賃金についても開示義務があるのでしょうか。

 なお、一般社員(労働組合員)の賃金については、開示しています。

上記「管理職の賃金について、労働組合に開示する必要がありますか?」に対する回答

 労働組合に管理職の賃金を開示する合理的な理由はありませんので、管理職の賃金を労働組合に開示しなくてもよいでしょう。

 労働基準法第89条は、就業規則の相対的必要記載事項の一つとして、「賃金の決定、計算及び支払の時期並びに昇給に関する事項」とあげています。

 ここで、「昇給に関する事項」とは、昇給の時期、昇給の方法、昇給の対象者などを指すものと解されており、一人ひとりの労働者の昇給額、まして、一人ひとりの賃金額を明らかにすることを求めているわけではありません。

 したがって、法令上は、個々の労働者の賃金について開示する義務もないわけですが、貴社の場合、労働組合員の賃金については、すでに開示されておられるようです。

 この措置は、労使間の交渉の中で合意によってなされたものと思われますが、労働組合に対して組合員の賃金を開示することは、一般にも行われています。

 それは、賃金控除協定に基づいて行なわれる組合費のチェック・オフとの関係や、組合がその構成員である組合員の賃金水準を把握する必要があることなどがその動機、背景になっているものと思われます。

 しかし、管理職は非組合員であり、労働組合が管理職の賃金を知る合理的な理由は見当たりません。

 貴社の労働組合がなぜ管理職の賃金について開示を要求しているのかその理由はわかりませんが、ご質問のように、経営の専権事項の一つとして、開示要求に応じる必要はないものと考えられます。

カテゴリー:労使関係

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