社内診療所の有料化は労働条件の不利益変更に当たりますか?

 現在は無料の社内診療所受診時の自己負担分を徴収することを検討していますが、これは労働条件の不利益変更に該当しますか。

 また、組合の同意が必要ですか。

上記「社内診療所の有料化は労働条件の不利益変更に当たりますか?」に対する回答

 社内診療所の受診料を無料とする措置は、一般的な労働条件ではなく、福利厚生施設に該当しますので、必ずしも有料化したからといって、不利益変更にはなりません。

 ただし、労働協約で無料としている場合には、いうまでもなく労働協約改定の手続きが必要となります。

 不利益変更の問題となるのは、あくまで賃金、休日、労働時間等の労働条件が変更される場合ですが、ご質問にある社内診療所の受診料は、労働条件ではありません。

 なぜなら、社内診療所は福利厚生施設に該当するからです。

 福利厚生施設は、賃金等の基本的労働条件とは別に、企業が従業員やその家族の福祉向上のために行う様々な施策のことで、その性格は恩恵的なものです。

 したがって、そもそも社内診療所の受診料は労働条件ではないため、不利益変更の問題にはなりません。

 ただし、貴社に労働組合があり、労働組合との間で、社内診療所の受診料を無料とする旨の労働協約を締結しているような場合には、労働協約に反して一方的に有料化することは労働協約違反となりますので、労働組合との協議が必要となることはいうまでもありません。

 なお、就業規則の変更のように、賃金等の労働条件を一方的に不利益に変更する場合には、「合理的な理由がない限り許されない」(昭43.12.25 最高裁大法廷判決「秋北バス事件」)ものとされており、やむを得ず不利益変更を行う場合には、団体交渉等の場で労働組合の同意を得るか、労働者一人ひとりの同意を得るようにしなければならないものとされています。

カテゴリー:労使関係

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