会社の施設を労働組合事務所として無償で貸してもよいのでしょうか?

 この度、労働組合から会社の施設の一部を組合事務所として無償で貸してほしいとの申し出がありました。

 現在これについて検討していますが、会社が事務所を組合に無償で貸与することが労働組合法上問題がないかどうかお教え下さい。

上記「会社の施設を労働組合事務所として無償で貸してもよいのでしょうか?」に対する回答

 「最小限の広さの事務所」であれば、会社の施設を組合事務所として無償で貸しても、労働組合法上の問題はありません。

 労働組合は、使用者と同等の立場で組合員の労働条件に関する交渉を行うことによって労働者の地位を向上させることを目的としていますので、組合員によって自主的に組織・運営されることが必要です。

 そのため、労働組合法(以下「労組法」という)第7条は、使用者が労働組合に支配介入することを禁止していますが、支配介入の一つとして、「労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること」を不当労働行為として禁止しています(同条第3号)。

 ご質問は、労働組合への事務所の無償貸与が上記の「経理上の援助」に該当するかがポイントです。

 ここで「経理上の援助」とは、組合運営のための経費の支払について、使用者がその経費の一部又は全部を負担することをいいますが、組合が会合や連絡をとるために使用する事務所を無償で貸すことが経費を負担することになるかどうかが問題となるわけです。

 この点について、労組法第7条ただし書では、最小限の広さの事務所を貸し与えることは「経理上の援助」には該当しないものとしています。

 また、事務所に付属する備品等(机や椅子、コピー機など)についても事務所と一体のものと考えられ、使用者の無償貸与が認められています。

 したがって、貴社が無償で貸すことを検討している事務所が「最小限の広さの事務所」の範囲内であれば、事業所の無償貸与は「経理上の援助」には該当せず、労働組合法上の問題は生じません。

 なお、「最小限の広さ」とはどの程度をいうのかという点については、実態に即して社会通念上必要最小限度と考えられる程度と解されています。

カテゴリー:労使関係

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