育児休業を終了し復職する社員を、子会社へ出向させることは違法となりますか?

 当社では、間もなく育児休業を終え、復職予定の女性社員がおりますが、もとの所属部署には後任者がおり、原職に復帰させることができませんので、子会社へ出向させたいと思いますが、このような措置は違法となるのでしょうか。

上記「育児休業を終了し復職する社員を、子会社へ出向させることは違法となりますか?」に対する回答

 育児・介護休業法の「指針」では、あらかじめ復職後のルールを定め、周知すること、また、復職に際しては原職または原職相当職に復職させることが多く行われていることに配慮することとされていますので、なるべく原職に復帰させるよう努めるべきですが、やむを得ない事情がある場合には、子会社に出向させても必ずしも違法とはなりません。

 育児・介護休業法(以下「法」という)第17条第1項は、「あらかじめ、次に掲げる事項を定めるとともに、これを労働者に周知させるための措置を講ずるよう努めなければならない」としていますが、その一つに、「育児休業及び介護休業後における賃金、配置その他の労働条件に関する事項」をあげています。

 また、法第18条では、事業主は、育児休業及び介護休業後における就業が円滑に行われるようにするため、「労働者の配置その他の雇用管理、育児休業又は介護休業をしている労働者の職業能力の開発及び向上等に関して、必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と定めています。

 そして、「事業主が講ずべき措置に関する指針」(平10.3.13 労告22号)では、法第17条に関して「不利益に取り扱うものであってはならない」とし、また、法第18条に関しては「育児休業及び介護休業後においては、原則として原職または原職相当職に復帰させることが多く行われているものであることに配慮すること」としています。

 以上のように、育児・介護休業法および指針では、休業後の労働条件については、あらかじめルールを定め、それを従業員に周知することを事業主の努力義務とするとともに、休業後の配置に際しては、原職または原職相当職に復帰させることに「配慮すべき」ものとしています。

 そこで、ご質問についてですが、育児休業者を休業後に子会社に出向させること自体は、上記の点から見てただちに違法となるわけではありませんが、休業前に、休業後の労働条件(ご質問の場合には、関連会社への出向)についてのルールを定めて明示していたかどうか、また、休業後の労働条件が休業前と比べて不利益なものとなっていないかどうか、さらに「子会社への出向」という措置が経営上、合理的かつやむを得ない措置であるのかなどの点について十分に配慮することが必要です。

 特に3点目に関して、ご質問ではすでに後任者がいるために原職復帰させることができないということですが、育児休業の場合、休業後には復職することがあらかじめ予定されているわけですから、後任者の配置は本来それを見込んで行われるべきものであるはずです。

 特に、子会社への出向というまったく新たな環境となることへの配慮をはじめ、休業前の職務内容を勘案して適性に合致した職務に就かせること、また未経験の職務に就かせる場合には適性開発等の措置を講ずることなどについて、十分に配慮したいものです。

カテゴリー:休日・休暇

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