「育児または介護を行うために短時間勤務をする者は、年次有給休暇を取得することができない」旨の規定は有効でしょうか?

 当社では、育児または家族の介護を行う社員で、育児休業または介護休業を取得しない社員に対して、所定労働時間を通常より1時間短くする短時間勤務制度を実施しています。

 短時間勤務制度の運用については育児休業規程および介護休業規程で定めていますが、この期間には年次有給休暇を取得できないものとしています。

 このように規定することは法律に違反するのでしょうか?

上記「「育児または介護を行うために短時間勤務をする者は、年次有給休暇を取得することができない」旨の規定は有効でしょうか?」に対する回答

 育児・介護短時間勤務制度の期間中だからといって、年次有給休暇の取得を禁止することは法律に違反しますので、そのような規定は直ちに改訂してください。

 なお、たとえその旨が規定されていてもその部分は無効となります。

 労働基準法では「6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、または分割した10労働日の年次有給休暇を与えなければならない」(同法第39条第1項)また、「1年6箇月以上継続勤務した労働者に対しては、6箇月を超えて継続勤務する日から起算した継続勤務年数1年(当該労働者が全労働日の8割以上出勤した1年に限る。)ごとに、前項の日数に1労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。」(同第2項)と定めています。

 したがって、育児・介護短時間勤務制度の適用を受ける者であっても、所定の要件を満たす限り、年次有給休暇を与えなければなりません。

 貴社では、就業規則に、「育児・介護短時間勤務制度の期間中の社員は、年次有給休暇を取得することはできない」と定めているとのことですが、このような規定は、労働基準法に違反し、そのような定めは無効です。

 そこで、できる限り早く規定を改定するとともに、短時間勤務期間中の社員も年次有給休暇を取得することができることを会社で周知徹底させてください。

 なお、育児・介護短時間勤務の期間中に年次有給休暇を取得した日の賃金の取扱いについては、就業規則等で「所定労働時間労働した場合の通常の賃金」で支払う旨定めている場合には、短時間勤務者に対して通常の出勤をした場合の賃金を支払えばよく、あらためて賃金計算を行う必要はありません。

カテゴリー:休日・休暇

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