部門が独立会社になった場合には、有給休暇の付与日数(継続勤務期間)は引継がなければなりませんか

 ある部門が完全に独立して別会社になる場合には、未取得の年次有給休暇を買い取らなければならないのでしょうか。

 また、独立した会社での付与日数については、独立前の会社の勤務期間を引き継がなければいけないのでしょうか。

上記「部門が独立会社になった場合には、有給休暇の付与日数(継続勤務期間)は引継がなければなりませんか」に対する回答

 部門がそのまま独立した場合には、事業が継続しているものと考えられますので、未取得の年次有給休暇も勤務期間も前の会社から引き継がなければなりません。

 年次有給休暇は賃金の減額を伴わずに、労働の義務を免除しようとするものですから、年次有給休暇の対象となる日は、労働義務の課せられた日でなければなりません。

 ですから、解雇や退職によって労働関係が終了すれば、それに伴って、年次有給休暇の請求権も消滅します。

 この点については、行政解釈でも、「年次有給休暇の権利は(解雇)予告期間中に行使しなければ消滅」(昭23.4.26基発651号)すると解しています。

 したがって、一般的には、労働関係がなくなれば、年次有給休暇の残日数もその時点で消滅しますので、買い上げる必要はありません。

 また、年次有給休暇の付与日数のもととなる継続勤務期間についても、旧会社での労働関係がいったん消滅した後新たな使用者に雇用された場合には、新たに採用された日から起算されることになりますので、一般には通算されません。

 ご質問の場合は、労働関係がいったん終了し、新会社に新たに採用される形となりますので、一見、以上に見たケースに該当し、未取得の年次有給休暇も継続勤務期間もともに更新されるようにみえます。

 しかし、実態的には、独立前の会社から新会社に権利義務関係のほとんどが継承されるものと考えられますので、年次有給休暇の残日数も継続勤務期間も、ともに継承されます。

 このようなケースについては行政解釈でも、「会社が解散し、従業員の待遇等を含め権利義務が新会社に包括承認された場合」(昭63.3.14基発150号)には、使用者は異なるとしても、実質的に労働関係は継続しているものとみなされるものと解しています。

 したがって、旧会社で付与されていた年次有給休暇の残日数も継続勤務期間も独立会社に継承し、従前と同様の取扱いをすべきです。

カテゴリー:休日・休暇

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