業務上のトラブルが多い社員を懲戒解雇処分にすることができますか?

 当社の営業社員が、得意先とのトラブルが多く、また、上司や女性社員に対しても暴言をはいたりします。

 この他にも、報告書や領収書に不正があったり、交通違反で警察から出頭要請を受けたり、以前には、営業車を放置したまま行方不明となり、職場を異動したこともあります。

 このような社員は懲戒解雇処分にしてもよいでしょうか。

上記「業務上のトラブルが多い社員を懲戒解雇処分にすることができますか?」に対する回答

 ご質問のような場合で、注意しても改まらず、服務規律違反行為が度重なるようであれば、懲戒解雇処分としてもよいでしょう。

 貴社の就業規則の服務規律や懲戒事由の規定に照らして処分してください。

 懲戒とは、労働者が企業秩序あるいは職場規律に違反する行為(服務違反行為)をした場合に、これに対して制裁を科すことをいい、懲戒処分の種類には、譴責、減給、降職・降格、出勤停止、懲戒解雇などがあります。

 実際の服務規律違反に対しては、その程度に応じた処分をすることになりますが、仮にその一つひとつが必ずしも重大な規律違反でない場合にも、その「非違行為」が繰り返し行われ、注意しても改められないときは、懲戒解雇処分をしてもよいと解されています。

 この点について、裁判例には「長期間にわたり反復継続された多数の非違行為を全体として評価すれば、企業秩序違反の程度は極めて重大かつ悪質で、これを理由とする懲戒解雇は有効である」(昭51.4.13 大阪地裁判決「三井造船(仮)事件」)と、度重なる服務規律違反行為を理由にした懲戒解雇を有効としたものがあります。

 ご質問の場合、上司や女性社員に対して暴言をはくとか、報告書や領収書に不正があったり、営業車を放置したまま行方不明になったことがあるとのことです。

 これらの行為一つだけで、ただちに懲戒解雇処分の事由には当てはまらないかもしれませんが、一連の行為を全体として見れば、企業秩序を破壊する「極めて重大かつ悪質な行為」であると考えられます。

 したがって、この従業員を懲戒解雇処分をすることは可能なものと考えられます。

 具体的には、貴社の就業規則の服務規律や懲戒事由の規定に照らして処分してください。

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