会社移転に当たっての、労働契約上の留意点について教えてください

 当社は、従業員約300名の製造会社です。
 この度、会社の存亡をかけ、会社を首都圏から信越地方に移転することを決定しました。

 会社としては、全員の雇用を確保したいと考え、社員のいろいろな事情も勘案して、可能な限り、社員の不利益を避けたいと考えています。

 その際、次の点についての留意点をお教え下さい。

1.退職者の退職金、
2.社宅や寮の廃止に伴う社宅・寮居住者の住居の取扱い、
3.持家通勤者の取扱い、
4.採用時に「転居を伴う異動は行わない」との条件で採用した一般職の女性社員の取扱い。

上記「会社移転に当たっての、労働契約上の留意点について教えてください」に対する回答

 全社を移転する場合には、配置転換と異って全従業員を対象として異動を実施するわけですから、できる限り、全員が移転先でも働きつづけることができるような配慮をするとともに、やむなく退職する者にもそれ相応の措置を講じられることが望ましいでしょう。

 経営上の都合(経営戦略による場合を含む)で、会社や工場を移転する場合には、それに伴って、個々の労働者に不利益が生じてもやむを得ないものと考えられます。

 ご質問の場合、全員の雇用を確保することを前提に、労働者の個人的事情からやむなく退職等に至る社員に対しても、十分に配慮したいとのことです。

 そこで、ご質問の各項目について考えてみましょう。

1.やむなく退職する社員の退職金の計算に当たっては、「会社都合」の退職として扱い、できれば、退職金の上乗せをする。

2.社宅、寮については、可能な限り移転先にも新しく設置するよう努め、すぐ実現できない場合には、借上げ社宅や寮を用意したり、地元の不動産会社と提携するなどによって、賃貸住宅を紹介するようにする。

3.持家の社員については、単身赴任や新幹線通勤、マイカー通勤を含めて社員の意志を尊重しつつ、いくつかの選択肢を用意する(その際、単身赴任手当や新幹線通勤のために必要な実費も通勤手当などを支給する)。

4.一般職の女性については、会社が移転しなければならなくなった理由を丁寧に理解させたうえ、可能な限り異動に応じてもらうようにしつつ、最終的には、退職するかどうかを本人の選択に委ねる。

カテゴリー:解雇・退職

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