解雇予告期間中に業務災害にあった場合、解雇予告の効力はどうなるのでしようか?

 先日、当社の社員Cに、30日前に解雇を予告しました。

 ところが、解雇予告の10日後に、業務災害に遭って怪我をし、現在入院中です。

 この場合、解雇予告の効力はどうなりますか。

上記「解雇予告期間中に業務災害にあった場合、解雇予告の効力はどうなるのでしようか?」に対する回答

 休業が長期にわたらない限り、当初の解雇予定日が解雇制限の期間延長されるだけですが、休業が長期になる場合は、改めて解雇予告が必要となります。

 労働基準法は、使用者が労働者を解雇する場合には、
(1)少なくとも、30日前にその予告をするか、
(2)予告期間が30日に満たないときは、その日数分の平均賃金を支払うか、

 のいずれかによらなければならないものとしています。

 一方、労働者が業務上の災害により療養のために休業する場合は、「療養のために休業する期間およびその後の30日間は解雇してはならない」と、解雇を制限して、労働者の生活を保護しています。

 さて、ご質問の場合、解雇予告期間が満了する前に業務上の負傷をして入院中とのことですが、この場合には、労働基準法の解雇制限の規定が適用され、入院中はもちろん、退院した後も通院加療のために休業する期間、及びその後30日間は解雇することはできません。

 したがって、当初に予告した解雇日が来ても解雇の効果は生じません。
 あえて解雇すれば、労働基準法違反として刑事責任を問われ、また、民事的にも解雇は無効となります。

 では、当初の解雇の予告の効果はどうなるのでしょうか。

 この点について、行政解釈では、「前の解雇予告の効力発生自体は中止されるだけであるから、その休業期間が長期にわたり解雇予告としての効力を失うものと認められる場合を除き治癒した日に改めて解雇予告をする必要はない」としています。

 つまり、解雇予告の効力は一時中断されただけで、無効になるわけではありません。

 したがって、ご質問のケ?スの場合は、改めて解雇予告をする必要はなく、療養のための休業期間とその後の30日間が過ぎれば、自動的に解雇の効力が生じるわけです。

 しかし、休業期間が長期にわたる場合には、この限りではありません。前掲の行政解釈でも、「その休業期間が長期にわたり解雇予告としての効力を失うものと認められる場合を除き」としているように、休業期間が長期にわたる場合は、最初に行った解雇予告は無効となり、休業終了後、30日を経過した日以降を解雇日とする解雇予告を改めて行わなければなりません。

 したがって、Cさんの休業が長引いて解雇予告の効力を失うと認められる場合には、改めて解雇の予告をする必要があります。

カテゴリー:解雇・退職

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