派遣社員を出張させた際の労災は、派遣元と派遣先どちらで適用となるのでしょうか?

 当社では派遣社員を使用しています。
 今回、その派遣社員を契約勤務地である東京から大阪に出張させたところ、出張先でその派遣社員が怪我をしました。

 派遣元との契約外の勤務地での労災事故となってしまったわけですが、派遣元で労災の適用を受けることができるでしょうか。

上記「派遣社員を出張させた際の労災は、派遣元と派遣先どちらで適用となるのでしょうか?」に対する回答

 原則として、派遣社員の労災は派遣元が適用対象になりますので、派遣元の労災の適用を受けることができるものと思われます。

 労働者派遣法第44条では、労働基準法のうち、災害補償に関する部分は派遣元が補償責任を負うこととしています。

 したがって、派遣労働者が業務災害や通勤災害を被った場合は、派遣元の労災保険から補償が行われます。

 この点について行政解釈でも
「1.派遣元事業主は、労働者の派遣先事業場を任意に選択できる立場にあり、労災事故の起きた派遣先事業主と労働者派遣契約を締結し、それに基づいて労働者を派遣したことに責任があること、
2.派遣元事業主は、派遣労働者を雇用し、自己の業務命令によって派遣先の事業場において就労させているのであるから、派遣労働者を雇用している者として、派遣先の事業場において派遣労働者の安全衛生が確保されるよう十分配慮する責任があること」等から、

「労働者派遣法においては、特例を設けず、派遣元事業主に災害補償責任を負わせること」としています(昭62.3.26発労徴19号、基発第168号、職発第153号)。

 ところで、ご質問では、派遣先企業が派遣社員を出張させた際に、出張中に当該派遣社員が被災したとのことですが、派遣契約で、当該派遣社員を出張させることがある旨の定めがある場合には、派遣労働者は派遣契約に基づいて派遣先の指揮命令下で労働し、被災したわけですから、問題なく派遣元の労災保険が適用となります。

 また、派遣契約にそのような定めのない場合にも、派遣先は、派遣元から委ねられた指揮命令権により派遣労働者を指揮命令しているのですから、派遣先が派遣元に無断で出張をさせたとしても、派遣契約の業務を遂行するために当然必要となる出張であるのなら、派遣元の労災保険が適用されると考えてよいでしょう。

 したがって、ご質問の場合、派遣元の労災保険から補償を受けることができます。

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