派遣社員に残業をさせることができますか?

 派遣社員の業務が、派遣契約で定めた労働時間内に終了しない場合、派遣社員に残業を命じることができますか。

上記「派遣社員に残業をさせることができますか?」に対する回答

 派遣元企業の就業規則に時間外労働に関する定めがあり、かつ時間外労働に関する労使協定が締結されていれば、派遣社員にも残業を命じることができます。

 派遣社員の雇用関係は、派遣元企業との間にありますが、労務提供先は派遣先企業です。
 したがって、派遣社員は、日常の業務は派遣先企業の指揮・命令下で行うことになりますが、この場合、派遣社員の担当する業務が所定の労働時間内に完了しない場合に、派遣社員に時間外労働や休日労働をさせることができるかどうかが問題となります。

 この点について、結論からいえば、一般的には、派遣社員に時間外労働等をさせることは可能です。

 ただし、その派遣社員に適用される派遣元企業の就業規則等に、「派遣先企業で求められたときには、時間外・休日労働をしなければならない」旨の定めがあり、かつ、派遣元企業の労働者の過半数を代表する者(または過半数労働組合)との間に「時間外・休日労働に関する協定」(以下「三六協定」という)が締結されていることが必要です。

 なお、これらの要件を満たす場合にも、派遣先で時間外労働をさせることのできるのは、その三六協定に定める「延長することのできる時間」の範囲内であることに注意が必要です。

 したがって、派遣先企業が、派遣社員に時間外・休日労働をさせることがあると予想される場合には、派遣契約締結の際に、派遣元企業の三六協定の有無や延長時間について確認しておくことが必要です。

 なお、実際に派遣社員に時間外労働をさせたときの割増賃金の支払いは派遣元企業が行います。したがって、派遣先企業で時間外労働等をさせた場合には、割増賃金にかかる諸費用を派遣元が通常の派遣料金とは別に請求することになります。

カテゴリー:派遣

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