借り上げ社宅(寮)の使用料は、どのように設定すればよいでしょうか?
会社が借り上げて従業員に貸与する借り上げ社宅や寮の使用料を従業員から徴収する際、所得税の課税範囲との関係などを考慮して使用料を設定したいのですが、どのようにすればよいでしょうか。
上記「借り上げ社宅(寮)の使用料は、どのように設定すればよいでしょうか?」に対する回答
社宅使用料は、物件の標準課税額を基準とした賃貸料相当額の50%以上を徴収していれば課税されません。
会社が従業員に貸与する社宅や寮の使用料の額が著しく低額であるときは、入居者である従業員の受ける利益が大きいため、現物給与として所得税の課税対象とされることがあります。
この場合、現物給与の対象となるか否かの判断は、物件の「賃貸料相当額」と徴収する使用料等との差額によって行われます。
この「賃貸料相当額」とは、不動産会社等との賃貸借契約に基づく実際の家賃ではなく、次の算式に示すように、固定資産税の標準課税額を基準としたものとなります(なお、役員に対する住宅の貸与の場合には、別途基準が定められています)。
賃貸料相当額(月額)=(その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×0.2%)
+{12円×(その家屋の総床面積?/3.3?)}
+(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
所得税は、原則として、上記の算式によって求めた「賃貸料相当額」と従業員から徴収した使用料との差額に対して課税されることになりますが(所得税法基本通達(以下「所基通」という)36-41、36-45)、「賃貸料相当額」の50%以上を使用料として徴収している場合には、課税されません(所基通36-47)。
なお、建物の一部を借り上げて従業員に貸与する場合には、[建物全体の「賃貸料相当額」×社宅部分の専用面積/建物全体の専用面積]を基準とします。
また、固定資産税の課税標準額は、年度ごとに改訂されますが、従前の課税標準額に比べて20%以内の増減にとどまっている場合には、賃貸料相当額を改訂する必要はありません(所基通36-46)。
社宅使用料等の非課税の範囲について、賃貸借契約の家賃の50%以上徴収していれば課税されないという理解をしているケースもあるようですが、上記のように、会社が従業員に住宅を貸与する場合の非課税の範囲は、家賃を基準とするのではなく、物件の課税標準額を基準とした「賃貸料相当額」によって定められています(この「賃貸料相当額」は、一般に、賃貸借契約に定める実際の家賃より低くなるケースが多いようです)。
したがって、借り上げ社宅(寮)の使用料を設定する際に、上記の算式による「賃貸料相当額」の50%以上とすれば、従業員の所得税の負担はないことになります。
なお、社宅使用料等の徴収をする一方で、別途、住宅手当を支給したり、家賃補助を行った場合は、金額にかかわらず、全額所得税の課税対象となりますので、留意が必要です。
カテゴリー:福利厚生
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