遅刻3回で欠勤1日として、給与を控除することはできるでしょうか

 当社は、年俸制に近い給与体系を採用し、勤怠管理は自己申告としていますが、最近、遅刻が多くなり、出勤時間がルーズになっています。

 そこで、遅刻を3回したら欠勤1日として、給与を控除し戒めたいと考えておりますがこの措置は違法になりますか。

上記「遅刻3回で欠勤1日として、給与を控除することはできるでしょうか」に対する回答

 遅刻による不就労時間を超えて賃金を控除する場合には労働基準法第91条の制裁規定の制限内としなければなりません。

 遅刻3回で1日分の給与を控除すると、この制限を超えることがありますので違法になるケースが生じます。

 賃金の控除には、不就労時間の賃金控除と減給の制裁による賃金控除があります。

 賃金は、もともと、労働の対価として支払われるものですから、遅刻、早退等によって労務の提供がなかった時間分の賃金を支給しないこと、すなわち、「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づいて不就労時間分の賃金を控除することは何ら問題はありません。

 しかし、制裁による賃金控除は、遅刻や早退等の服務規律違反に対する制裁として、労務の提供がなされた時間について本来支給すべき賃金の一部を控除することですので、その範囲には制限が設けられています。

 具体的には、労働基準法(以下「法」という)第91条で、「就業規則で減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」と定められています。

 さて、ご質問にある遅刻を3回した場合に、欠勤したものとみなして1日分の賃金を控除することができるかどうかですが、結論的にいえば、できる場合とできない場合があります。

 例えば、貴社の所定労働時間が1日8時間である場合に、労働者が3回遅刻し、その合計時間が3時間であったとします。この場合には、遅刻した3時間分を賃金から控除することは、「ノーワーク・ノーペイの原則」に則ったものですから、特に問題はありません。

 しかし、残りの5時間分の賃金を控除すると、減給の制裁の限度である4時間を超える時間に相当する賃金(平均賃金の1日分の半額相当を超える額)が控除されることになりますので、法第91条の減給の制裁の制限規定に抵触することになります。

 この点について、行政解釈では、「遅刻早退についてその時間に比例して賃金を減額することは違法ではないが、遅刻早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされ、労基法91条の適用を受ける」(昭26.2.10基収4214号、昭63.3.14基発150号)としています。

カテゴリー:懲戒・トラブル

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