本人の過失が明らかでない場合に、社有車の修理代を負担させることは可能ですか?
当社では、社員に社有車で商品の納品等をさせているのですが、ある社員がここ3カ月間に3回も車両を損傷させ、いずれも15万円程度の修理代がかかりました。
本人は、車両の損傷は「いずれも駐停車中に誰か(不明)にあてられたもの」と自己の過失を否定していますが、その真偽が疑わしいこと、頻度が高いことなどから、修理代の一部を本人に負担させたいと思うのですが可能でしょうか。
なお、当社の就業規則には「社員が故意または重大な過失によって、備品、什器その他会社の所有物を損壊させた場合には、会社は社員に対して損害賠償を請求することがある」旨の定めがあります。
上記「本人の過失が明らかでない場合に、社有車の修理代を負担させることは可能ですか?」に対する回答
本人の過失を証明しない限り、損害賠償(修理代)を請求することは難しいでしょう。
今後、このようなことを未然に防ぐために、就業規則(社有車規程)等に、「事故発生時には必ず警察に届け出なければならない」旨を定めて徹底しておけば、事故の性格や過失の有無、程度等を判定しやすくなるでしょう。
まず、ご質問の過去3回の車両の損傷については、今となっては本人の過失の有無を証明することは困難(事実上不可能)であると思われます。
本人の過失が明らかにならない限り、少なくとも就業規則に照らして損害賠償(修理代の一部)を請求することはできません。
したがって、今後いかにして同様のことを未然に防ぐかがポイントとなります。
ところで、ご質問の3回の事故の原因が明確でない(本人の申告に頼るしかない)ということから判断しますと、それらの事故についてはいずれも警察への届出がされていないものと思われます。
つまり、貴社では、「社有車使用時に事故が発生した場合には必ず警察に届け出なければならない」ことをルール化、徹底しておらず、事故原因について車両使用者に虚偽の報告ができうる余地を与えていたことになります。
仮に、ご質問の事故が、実は使用者(社員)本人の過失によるものであったとすると、その事故発生の状況としては、(1.修理代がそれほど高額ではないこと、2.警察沙汰になっていないことなどから)、第3者の車両と比較的軽微な接触事故を起こした後何らかの話し合いによって示談としたようなケースと、わき見をしていて車両を電柱に接触させたなど自損事故を起こしてしまったようなケースが考えられます。
もしも、事故発生時の警察への届出が義務化されていれば、前者の場合はもちろん、後者の場合にも、警察に対して虚偽の状況報告をすることはないものと考えられますので、事実関係は明らかになります。
しかし、警察への届出が義務化されていなければ、いずれの場合にも「駐停車中に誰か(不明)にあてられた」などと(会社に)虚偽の報告をすることが可能となってしまいます。
したがって、就業規則(社有車規程)等に、「社有車使用中に事故が発生した場合には必ず警察に届け出なければならない(第三者との事故の場合に警察に届出ることなく示談としてはならない)」旨を定め、徹底するようにします。
そうすれば、事故の性格や過失の有無、程度等の判定も容易になるものと思われます。
さらに、「正当な理由なく警察に届出されていない事故に起因する車両損傷の修理代は、原則として、車両使用者がその全額を負担しなければならない」旨についても定めておけば、いっそう曖昧さがなくなるでしょう。
カテゴリー:懲戒・トラブル
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