営業社員の給与を出来高制にする場合、売上がない月の給与も保障しなければならないのでしょうか?

 当社では、営業社員の給与を出来高払制に移行することを検討しています。

 1日の所定労働時間を7.5時間、みなし残業時間を2時間と想定していますが、この場合、仮にまったく売上がない月にも給与を支払わなければならないのでしょうか。

上記「営業社員の給与を出来高制にする場合、売上がない月の給与も保障しなければならないのでしょうか?」に対する回答

 出来高払制をとる場合には、「労働時間に応じ一定額の賃金を保障」することが、労働基準法により義務づけられています。

 しかし、労働基準法は、その保障給の額については定めていませんので、最低賃金法に基づいて都道府県ごとに定められた地域別最低賃金(産業別最低賃金が定められているときは、産業別最低賃金)が最低保障額となります。

 労働基準法第27条は、労働者を出来高払制その他の請負制で使用する場合には、「労働時間に応じ一定額の賃金を保障しなければならない」と定めています。

 したがって、出来高制をとる場合には「労働時間に応じ一定額の賃金を保障」しなければなりませんが、労働基準法では、その保障額については定めていません。

 したがって、最低賃金法に基づいて都道府県ごとに定められた地域別最低賃金(産業別最低賃金が定められているときは、産業別最低賃金)が最低保障額となります。

 この場合、出来高払制における保障給は、「労働時間に応じ」とされていますので、最低賃金の時間額が適用されます。

 1日あたりの具体的な最低保障額は、ご質問の場合、みなし残業時間を含めると、9.5時間ということですので、最低賃金の時間額の9.5時間分とみなし残業時間のうち8時間を超える1.5時間に対する2割5分増の割増賃金を合わせた額ということになります。

 そして、この計算式で計算した保障額を労働日数分支払わなければならないわけです。

 つまり、出来高のない月についても、この計算式で計算した1日の賃金額を保障給として、労働日数に応じて最低保障賃金を支払う必要があるわけです。

 なお、最低賃金は、毎年、都道府県労働局に設けられた最低賃金審議会で審議、決定されています。

 審議会で決定された地域別最低賃金は、9月?10月ごろ、産業別最低賃金は11月?12月ごろに告示されますので、保障給を最低賃金額にする場合には、毎年改定する必要がありますので、注意してください。

カテゴリー:賃金・賞与

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