給与の締切日や支払日を変更するときは、どんな点に留意する必要があるでしょうか?

 当社は、現在、賃金の計算期間が前月16日?当月15日、支払日が当月25日となっていますが、締切日から支払日までの期間に余裕を持たせるため、計算期間を当月1日?当月末とし、支払日を翌月25日に変更したいと思っていますが、その際の留意点について教えてください。

上記「給与の締切日や支払日を変更するときは、どんな点に留意する必要があるでしょうか?」に対する回答

 移行に当たって、従業員の不利益を最小限におさえる配慮が必要です。
 また、就業規則(給与規程)の変更が必要となります。

 「賃金の締切及び支払の時期」については、就業規則の絶対的必要記載事項とされていますので、就業規則の変更手続を適正に行なえば、変更することに特に問題はありませんが、いくつか留意すべき事項があります。

(1)移行月の支給額が減らないように配慮する

 賃金の支払日を変更する場合、支払日に変更がなければ変更した月の固定給与が少なくなり、従業員に不利益を与えるおそれがあります。

 質問のケースの場合でみると、変更前なら当月25日に支給されるべき当月15日までの賃金が変更後は翌月25日支払分にまわるため、当月の支給額は半月分ということになり、従業員の生活設計が大きく狂ってきます。

 このような場合従業員に与えるダメージを最小限に抑えるため、移行月は半月分の給与を二重に支払って通常通り1ヵ月分を支給するのが望ましいでしょう。

 それが無理でも、変更月を賞与支給月に合わせて生活費を確保できるようにするとか、無利子での貸付を行なうなど何らかの措置を講ずべきです。

(2)就業規則(給与規程)の変更

 賃金締切および支払日は就業規則の絶対的必要記載事項の一つですので、就業規則(給与規程)の変更を行い、過半数労働組合または過半数代表者の意見聴取したのち、意見書を添えて労働基準監督署長に届け出る必要があります。

(3)社会保険の手続き
 4月から6月は社会保険の算定基礎月に当たりますので、この間に変更すると事務処理手続きが通常より若干煩雑になりますので、他の月に変更したほうがよいでしょう。

(4)雇用保険の手続き

 離職証明書の記載のしかたについて留意が必要です。

 賃金締切日の変更に応じて、離職証明書の賃金支払対象期間の欄は5月16日から5月31日までについては一期間として記載し、備考欄に賃金締切日変更の旨を附記します。

 また変更の結果、賃金計算期間が短くなった日については、賃金日額の算定に当たってはその月は除外して行なわれます。

カテゴリー:賃金・賞与

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