賞与の支給が遅れた場合、所定支給日後に退職した者にも支払わなければならないですか

 賞与について労使交渉が難航したため、通常の賞与支給日より1ヵ月程度遅れてしまいました。

 就業規則には賞与支給日に在籍している者に限り支払う、という定めがありますが、この場合、通常の支給日の後に退職し、実際の支給日に在籍しない者にも賞与を支給する必要があるでしょうか。

上記「賞与の支給が遅れた場合、所定支給日後に退職した者にも支払わなければならないですか」に対する回答

 所定(通常)の支給日に在籍していた従業員には、支給する必要があります。

 労働基準法上の賞与とは、「定期または臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額があらかじめ確定されていないもの」をいい、必ずしも一定期日に支払うことを要しないものとされています。

 しかし、労働基準法は、慣行的または制度的に賞与を支払うこととする場合には、就業規則に賞与の計算方法および支給方法、支給期日、支給対象者等について定めておかなければならないものとしています。

 したがって、支給対象者について、例えば、「賞与支給日に在籍する者に限って賞与を支給する」旨の規定がある場合には、この定めに基づいて支給日に賞与を支払い、支給日以前に退職した者には支払わなくとも差し支えありません。

 しかし、賞与の算定期間に在籍しており、所定(通常)の支給日までは在籍していたにもかかわらず、賞与の支給日が遅れたことによって賞与を支給しないことは、労働者の既得の権利を一方的に奪うことになりますので、所定の賞与支給日に在籍していた者には、賞与を支払わなければなりません。

 労働組合との交渉が長引いたことによって支給日が遅れた場合でも同様です。

 なお、就業規則等で賞与支給日自体が特定されていない場合には、賞与支給日にすでに退職している者に賞与を支払うかどうかは一応任意と考えられますが、慣例的に一定の期日(例えば7月中とか12月中など)に支払われている場合には、その月に在籍している者には賞与を支払う必要があるものと考えられます。

カテゴリー:賃金・賞与

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