健康上の理由で就業に耐えられない社員の就業を禁止できますか?

 糖尿病で極度に視力が低下しそれまでの業務に耐えられない者を、会社の判断で就業を禁止することができるのでしょうか。

上記「健康上の理由で就業に耐えられない社員の就業を禁止できますか?」に対する回答

 会社の判断だけでなく、医師の診断に基づいて就業を禁止するようにしてください。

 労働安全衛生法では、
(1)病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかった者、
(2)精神障害のために、現に自身を傷つけ、又は他人に害を及ぼすおそれのある者、
(3)心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかかった者、
(4)前各号に準ずる疾病で労働大臣が定めるものにかかった者
 について、使用者は就業を禁止するよう定めています。

 しかし、ご質問のケースは、上記の法定の就業禁止には該当しません。したがって、使用者の判断で一方的に就業を禁止することは避けた方がよいと考えられます。

 労働能力が低下し、どうしても、担当業務を遂行できないのであれば、他の単純、軽易な作業に配置転換させる措置をとるほか、程度によっては、医師の判断のもとに、休職などの措置をとって療養をさせることが必要だと思われます。

 裁判例でも、客観的な判断資料の収集をすることなく労働者の就労を禁止した措置は、軽率であるとし、使用者に賃金の支払を命じたものがあります。

 したがって、もしどうしても、就業を禁止する場合にも、事前に産業医等の医師の意見を聞き、慎重かつ適正に行う必要があります。

 なお、単純、軽易な作業に就かせた場合に、職務の転換に伴って賃金を引き下げることは認められています。

カテゴリー:安全衛生

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