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間違いだらけの退職金

2006年06月15日

あまりに乱暴な幹事金融機関の提案

 適年から中退共へ移行する保険会社の提案書は何度も見る機会がありました。

 現在は中退共へ移換出来る適年資産の個人別分配額は制限されており、移行期間で10年(120月)、金額で約380万円が上限となっています。

 保険会社の提案書は、個人別資産を可能な限り移管するための個人別の掛金の設定がメインであり、役職や等級には無関係であるため基本的には勤続期間の長短によって掛け金が決められています。

 そもそも退職金制度を維持するかどうかをも含めた何の展望もないまま、新退職金への完全移行ありきで、いきなり掛金を設定するというのは余りにも乱暴です。

 当方でアドバイスできる企業は宜しいのですが、多くの企業にそのような提案書が届けられていることを思えば、正直恐ろしくなります。

 確定拠出年金導入の提案書には、正直怒りを覚えました。

 確定拠出年金は前払い制度です。
 Pay latter から Pay nowへの変更です。

 しかし法に定められたその実態は老齢年金です。

 60歳になるまでは(死亡・障害の場合や、小額などの例外除いては)1円も手にすることは出来ません。
 日本の雇用風土になじみきらない、大企業ならともかく、中堅・中小企業にはなじまないという性質を多々持ちます。

 また、常に円満な退職が出来るとは限りません。
 退職金はある意味では「手切れ金」という意味もあります。

 その意味で100%確定拠出年金に移行する提案は無謀としか言いようがありません。

退職金の見直しには人事戦略・雇用戦略の点検が必須

 確定拠出年金が駄目と言っているのではありません。

 肝心な会社の中長期の人事戦略の練り直し、リスクの考慮、多方面のシミュレーションの実施を飛ばした、自社のビジネス優先の姿勢が許せないのです。

 自社のビジネス優先は当然ですが、100%の移行は後々に禍根を残すことになります。

 企業の経営陣は、金融機関が売りたい商品を選ぶのではなくて、自社の人事戦略・雇用戦略に合った制度を導入するよう、注意を強めて下さい。

2006年06月15日

カテゴリー:退職金コンサル

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