補正予算の成立を受けて見直しや新設が予定される雇用関係助成金

2020年1月28日

 先日から11月30日までの日程で臨時国会が開会しています。この国会では、補正予算が組まれることで、雇用関係の助成金について見直し・新設等が予定されています。この助成金の概要に関する情報が先行して出てきているため、事前に概要を確認しておきましょう。

1.対象の予定となっている助成金

 見直しや新設の対象の予定となっている助成金は以下のものがあります。

  1. 労働移動支援助成金(見直し)
  2. 65歳超雇用推進助成金(新設)
  3. 生活保護受給者等雇用開発助成金(新設)
  4. 地域雇用開発助成金(見直し)
  5. 両立支援等助成金(新設)
  6. 人材確保等支援助成金(見直し)
  7. キャリアアップ助成金(見直し)
  8. キャリア形成促進助成金(見直し)
  9. 地域活性化雇用創造プロジェクト(仮称)(新設)

 当然ながら、政策として注力したい内容に予算が割かれることになりますが、この中でも、特に「65歳超雇用推進助成金」と「両立支援等助成金」に注目しておきましょう。

2.65歳超雇用推進助成金

 この助成金は、「ニッポン一億総活躍プラン」を受け、将来的に継続雇用年齢や定年年齢の引上げを進めていく必要があることから、65歳以降の継続雇用延長や65歳までの定年年齢の引上げを行う企業に対する支援を拡充するために新設されるものです。具体的には、65歳以上への定年の引上げ、定年の定めの廃止、希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入のいずれかの措置を実施した事業主に対して、その措置の内容に応じて助成金が支給されます。

  • 65歳への定年引上げを実施した事業主・・・100万円
  • 66歳以上への定年引上げ又は定年の定めの廃止を実施した事業主・・・120万円
  • 希望者全員を66~69歳の年齢まで継続雇用する制度を導入した事業主・・・60万円
  • 希望者全員を70歳以上の年齢まで継続雇用する制度を導入した事業主・・・80万円

 この助成金と似通った助成金が以前から存在しますが、現段階の情報によると要件が緩和され受給しやすい状況になっています。

3.両立支援等助成金

 両立支援等助成金はいくつかの助成金から構成されていますが、このうち、現在の介護支援取組助成金が見直され、新たに介護離職防止支援助成金が新設される予定です。この助成金は、仕事と介護との両立の推進に資する職場環境を整備し、介護休業を取得・職場復帰をした労働者や仕事と介護を両立するための勤務制度(所定外労働の制限、時差出勤、深夜業の制限)の利用者が生じた事業主に対して助成金が支給されます。助成金を受給するためには、「介護支援プラン」の策定・導入が必要となります。
 支給額は、雇用する被保険者が、介護休業を取得した場合と、それ以外の介護のための勤務制度を利用した場合に分かれており、以下のとおりとなっています。

・介護休業を1ヶ月以上取得し復帰した場合・・・1 人あたり60万円(中小企業事業主以外40万円)
・介護のための勤務制度を3ヶ月以上利用した場合・・・1人あたり30万円(中小企業事業主以外20万円)
※それぞれ1事業主につき無期雇用の労働者・有期雇用の労働者各1人ずつ支給

 詳細については、補正予算成立後の今月に雇用保険法施行規則が改正、施行された段階で出てくるものと思われます。厚生労働省等からの今後の情報に注目をしておきましょう。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。