働き方改革関連法案 2018.06.29(金)参議院可決・成立

2020年1月24日

働き方改革関連法案 18.06.29(金)衆院通過後のし参議院可決し法案成立

働き方改革関連法案 2018.06.29(金)参議院可決・成立

(2018.06.29(金)追記)
 安倍首相が今国会の最重要課題と位置付けた「働き方改革」関連法は2018年6月29日(金)の参院本会議で、与党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立しました。

 働き方関連法は、以下の内容が柱で、労働規制の強化と緩和に関わる労働基準法など8本を束ねたものです。2019年4月から順次導入される予定です。

  1. 罰則付きの残業時間の上限規制導入
  2. 高収入の専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」創設
  3. 正社員と非正規労働者の格差改善を図る「同一労働同一賃金」の適用

 働き方関連法をめぐっては、裁量労働制に関する厚生労働省調査にデータ誤用などが相次いで発覚しました。政府は関連法から裁量制拡大を削除する事態に追い込まれる事態となりました。
 主要野党は高プロの撤回を要求しており、野党議員は「『定額働かせ放題』そのもので、過労死促進につながる戦後最悪の労働法制大改悪だ」と批判しています。

「働き方改革」関連8法案とはそもそも何だろう

働き方改革関連法案 2018.05.31(木)衆議院可決・通過

(2018.05.31(木)追記)
 働き方改革関連法案が2018年5月31日午後、衆院本会議で採決されました。自民、公明両党と、修正案をまとめた野党の日本維新の会、希望の党を含む賛成多数で可決し、衆院を通過、6月4日にも参院で審議入りする模様です。
 与党は当初、5月29日の衆院本会議で採決する方針でした。しかし25日の衆院厚生労働委員会で与党が採決を強行したことに、立憲などの野党が反発。与野党の国会対策委員長が協議した結果、30日に厚労委で追加の審議を行い、31日の本会議で採決することで合意したものです。
 これから下部は、5月24日(木)に投稿した記事です。

同一労働・同一賃金や高プロの懸念、働き方改革が進まずの中

 安部首相が今国会の最重要法案と位置付ける「働き方改革」関連法案がいよいよ衆議院で採決が行われ、成立に向かう公算が強くなりました。

 ここまで「働き方改革」関連法案の審議は、「森友学園」や「加計学園」問題で、一進一退を繰り返しておりましたが、裁量労働制の拡大は見送られ、高度プロフェッショナル制度導入は案そのままで成立する運びとなったようです。

 同一労働・同一賃金で正社員の暮らしが崩壊するとか、高度プロフェッショナル制度(高プロ)は残業無規制で政府公認のサービス残業容認法案ではないだろうか、高プロはとにかくやばい、などの声も上がっており、もっと時間をかけた審議が望ましいように感じておりましたが、いつも通りに前進してしまうようです。

 神奈川県の調査では、「働き方改革に取り組んでいない中小企業が6割超」という調査も出ており、そもそもの働き方改革が進んでいない現状もあります。
 気になった記事等を参照し、参考リンク先を掲載しておきます。

働き方改革関連法案の参考記事・リンク先

時事通信社:「働き方」25日採決=委員長解任案でずれ込み-国会

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018052300811&g=pol

 立憲民主党など主要野党は23日、委員会運営が強引だとして衆院厚生労働委員会の高鳥修一委員長(自民)の解任決議案を提出した。これに伴い、安倍晋三首相が今国会の最重要法案と位置付ける「働き方改革」関連法案は同委員会での審議がストップ。与党側は24日の衆院本会議で解任案を否決した上で、25日の厚労委で法案を可決、月内に参院に送付する構えだ。

 解任決議案は、立憲、国民民主、共産など5党1会派の共同提出。高鳥氏が働き方法案に関し、多くの委員会日程を職権で決めたことなどを理由に挙げた。新潟県知事選告示を24日に控え、与野党対決の構図を際立たせる狙いがあるとみられる。
 自民、公明両党は23日、日本維新の会や希望の党と合意した働き方法案の修正案を提出した。高収入の専門職を労働時間規制の対象外とする「高度プロフェッショナル制度」について、適用後の解除規定を追加した。与党は一部野党の賛成を取り付けたことで採決の環境が整ったと判断した。

朝日新聞:首相、過労死遺族会との面談応ぜず 働き方改革関連法案

https://digital.asahi.com/articles/ASL5R4518L5RULFA00N.html

 過労死遺族でつくる「全国過労死を考える家族の会」が求めていた安倍晋三首相との面談について、政府は23日、応じないと表明した。この日の衆院厚生労働委員会で、内閣官房の審議官が明らかにした。家族の会は面談で、働き方改革関連法案から高度プロフェッショナル制度(高プロ)を削除するよう訴える考えだったが、今後、厚労省で対応することに決めたという。

 家族会は、22日までの面談を16日夜に申し入れたが回答がなかった。面談の実現と、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す高プロの削除を求めて22日に首相官邸前で座り込みをし、23日も続ける。

 安倍首相は、自身肝いりの「働き方改革実現会議」が進んでいた昨年2月には、過労自殺した広告大手「電通」の新入社員の母親と首相官邸で面談した。家族の会の寺西笑子代表は22日夜、高プロの削除を求める集会でこのことに触れ、「なぜ首相は私たちには会ってくれないのか」と訴えた。

ダイアモンド:正社員の暮らしが崩壊!?国会で審議されない働き方法案のリスク

https://diamond.jp/articles/-/170676

 正社員の暮らしが崩壊か、働き方法案の同一労働同一賃金に関するリスクとは佳境にさしかかる働き方改革関連法案の国会審議。しかし、審議が尽くされていないがゆえの大きなリスクも見える

なぜ同一労働同一賃金の課題は国会できちんと議論されないのか

 いわゆる「働き方改革関連法案」の国会審議が始まり、本国会で成立するかどうか、一進一退の様相を呈している。裁量労働制の拡大は見送られ、高度プロフェッショナル制度導入の是非に焦点が当たっている。

 それに対して、法案の2本柱とも言える「長時間労働の是正」と「同一労働同一賃金」については、ほぼ原案通りの通過が見込まれている。このうち長時間労働の是正については、上限時間と導入時期くらいしか論点が見当たらないが、問題は同一労働同一賃金だ。企業にもビジネスパーソンにも、極めて大きな影響を与える可能性があるにもかかわらず、法案成立を目前にしながら気持ちが悪いほど議論が深まっていないことには疑問を感じる。

 そこで、同一労働同一賃金にどんな課題が残されているのかを改めて考えてみよう。

 実は、法案成立を待たずにその影響は出始めている。日本郵政グループが、引っ越しを伴う異動がない勤務地限定正社員のうち、約5000人に支給している住居手当を今年10月から廃止することになり、批判を集めている。これは、今年2月の大阪地裁の判決が伏線となっている。日本郵便の正社員と同じ業務内容の契約社員について、扶養手当や住居手当などの格差を違法と判断したのだ。

 今回の措置は、正社員の待遇を下げる一方、手当の削減分を非正社員の待遇改善に充て、社員間の格差是正を図るのが目的だ。

 一方で、トヨタ自動車は、期間従業員にも家族手当(扶養手当)を支給する方針を固めた。同一労働同一賃金の実現につなげるためという。

 もちろん政府の理想が、トヨタのような非正規社員の待遇改善であることは間違いない。しかし、すべての待遇を正社員に合わせることになれば、人件費の増加は非常に重くなる。となれば、日本郵政のように、正社員の待遇を下げることで格差を是正しようと考える企業が世間の主流となる可能性が高い。企業で働く正社員にとっては、大きな不安になるだろう。

同一労働同一賃金に関する法律の趣旨を細かく検証してみよう

 実はこれまでにも、同一労働同一賃金に関連する法律は存在した。たとえば、次のようなものだ。

  • 労働基準法第3条(均等待遇)
    使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
  • 労働基準法第4条(男女同一賃金の原則)
    使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。
  • 労働契約法20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
    有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。
  • パートタイム労働法第9条(差別的取扱いの禁止)
    事業主は、職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるものについては、短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならない。

法案の趣旨は格差是正よりも非正規社員の差別待遇禁止

 これらの法律に、今回の法改正が加わることになる。「同一労働同一賃金法案」と聞くと、正社員と同じ仕事内容の非正規社員に限定した法律という印象を受けるが、必ずしもそうではない。法律案要綱を読んでも、同一労働同一賃金という言葉は一切出てこない。むしろ、「非正規社員に対する差別的待遇禁止法案」という言い方のほうが妥当ではないだろうか。

 一見すると本法案自体は次のような内容に要約され、大した改正には感じられない。

  1. 「労働契約法」第20条の規定を削除し、「パートタイム労働法」を「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」に名称変更し、有期雇用労働者も含める。
  2. 比較対象を、「同一の事業所に雇用される」から「同一の雇用主に雇用される通常の労働者(正規雇用労働者)」に変更し、(1)職務内容・責任の程度、(2)職務内容・配置の変更範囲、その他の事情 を考慮し、不合理と認められる待遇の相違を禁止。
  3. 通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力または経験等を勘案し、その賃金(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く)を決定するように努める。
  4. 基本給、賞与、その他の待遇(手当・休日など)のそれぞれについて、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮する。
  5. パートタイム労働者に加え有期雇用労働者に対しても、『雇入れ時の待遇の内容等に関する説明』、『労働者から求めがあった場合に、待遇を決定するに当たって考慮した事項に関する説明』を雇用主の義務とする。

法案の「見えない意図」をガイドラインから読み解くと……

 これだけではどういう意図が込められているのか、理解し難い。そこで、「不合理な待遇」の具体的な事例についてはガイドラインで示すとし、個別案件に対する判断は、裁判など司法に委ねられるという。要は、事細かなことを法律に書けないので、ガイドラインと裁判所の判断が基準になるということだ。

 そんな法律の「見えない意図」の一端が、あるガイドラインから読み取れるケースを紹介しよう。それは、2016年12月、法案審議に先駆け厚生労働省が公表した同一労働同一賃金ガイドライン案である。そこには、いかなる待遇差が不合理なものか、あるいはそうでないかの具体例が示されている。

 たとえば、基本給を職業能力によって決定している企業においては、非正規社員も同様の仕組みで決定することを求めている。すなわち、同じ職業能力なら同水準、職業能力に差があるならその差に応じた賃金水準を支給すべきということになる。

 一方、通勤手当や食事手当など、仕事内容と関連のない手当については、同一労働か否かを問わず、非正規社員に対する差別的扱いを否定している。たとえば、仕事内容が異なっていたとしても、通勤に要する交通費は変わりないので、通勤手当は同じように支払いなさい、ということだ。こうした手当については、企業側が「正社員とは仕事内容が異なるから大丈夫」と甘く考えていると、大きなしっぺ返しを食らうことになるのではないか。

 ガイドライン案では、おそらく企業収益へのインパクトの大きさに配慮して、家族手当、住宅手当、退職金などは記載されていない。だからといって、これらの項目については、格差是正の対象外となっていると考えるのは早計だろう。個別案件ごとに、その性質・目的に照らして不合理な格差かどうか、裁判所での判断に委ねられることになる。

 そのため、トヨタ自動車の方針や日本郵便に対する大阪地裁の判決が、今後の主流になる可能性は十分にある。そうなると、高収益企業や正社員中心の企業は非正規社員の待遇向上で対応できても、小売業や外食産業など利益率が低く非正規社員比率の高い業界はそれがままならず、死活問題となるだろう。

 基本給は「仕事の責任や内容が違うから」と現在の格差を維持したとしても、契約社員やパート社員に賞与や手当を出さない、ということが認められなくなる可能性が高まるのだ。

各種手当から退職金まで削減 正社員の暮らしは崩壊する?

 その結果、前述した通勤手当や食事手当に加えて、家族手当、住宅手当にいたるまで、これまで正社員が享受していた各種手当の減額ないしは廃止を議論する企業が続出するかもしれない。さらに、退職金や年功的賃金なども含めた人事制度の根本的な見直しを迫られる可能性もある。定年再雇用後の大幅な賃金ダウンも、年功賃金が生み出した産物という側面も少なくないからだ。

 すでに、NTTやヤマト運輸などは、60歳以降の賃金水準を引き上げる代わりに、40代・50代の賃金を抑制する制度改定を打ち出している。これも、同一労働同一賃金を意識した動きと言える。

 これまでの国会議論では、裁量労働制や高度プロフェッショナル制度ばかりに注目が当たっているが、こうした制度の対象者は限られる。むしろ、与野党とも基本的に賛成している「同一労働同一賃金関連法案」にこそ、十分な議論の時間を使うべきではないか。本気で実現しようとするなら、多くの企業や労働者にとって、極めて大きな影響を及ぼすテーマだからだ。

 こうした側面も踏まえて、我々は働き方改革関連法案の審議の行方をもっと「自分事」として見守る必要がある。

(新経営サービス 常務取締役 人事戦略研究所所長 山口俊一氏)

神奈川県:働き方改革に「取り組んでいない」中小企業が6割

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/jf2/chusho/keieikadai_kishahappyou.html

取り組んでいない最大の理由は「人員に余裕がない」

 県では、県内中小企業・小規模企業の経営の状況及び支援ニーズを把握し、支援施策を適切に推進していくため、県内中小企業・小規模企業2,600社を対象にアンケートを実施しました。このたび、平成29年度神奈川県中小企業・小規模企業経営課題等把握事業結果としてとりまとめましたので、お知らせします。

アンケート結果の概要

働き方改革に「取り組んでいない」企業が63.5%
 働き方改革に「取り組んでいない」企業にその理由をたずねたところ、「人員に余裕がなく、取り組むことができない」(41.5%)が最も多い。
働き方改革に「取り組んでいる」と回答した企業の取組内容は「長時間労働の是正」(70.5%)が最多。

人材確保の最大の課題は「求める質の人材がいない」
 人材の雇用・採用にあたっての課題について、「求める質の人材がなかなかいない」が最も多く(53.5%)、IT関連業、建設業、飲食サービス業では6割を超えている。人材の確保にあたり、求める人材については、「熟練技能者」(41.9%)が最も多い。

「今の事業は自分の代限りになると感じている」企業は昨年度に引き続き3 割超え
 事業承継について、「今の事業は自分の代限りになると感じている」と回答した企業は、平成28 年度が30.1%、平成29 年度が32.2%と引き続き3割を超えた。そのうちの3分の1以上が、後継者がいないことを理由としている。
 一方で、前年度と比べて、「事業承継を課題と感じているが、取り組んでいない」企業は11.1%と5.5 ポイント減り、「取り組んでいる」企業は30.9%と5.9 ポイント増えていることから、事業承継への取組が徐々に進んでいることが窺える。

外国人顧客対応への関心の高まりが窺える
 新たな事業への取組について、前年度と比べて、「海外市場への展開」が18.0%と7.1 ポイント増、「外国人観光客への対応」が12.6%で6.7 ポイント増と大きく増加している。
 一方で、外国人顧客対応について、54.9%の企業が「取り組み方が分からない」と回答。

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