菅野労務FP事務所ブログ

定年後再雇用賃金75%減額違法:高裁判決確定(最高裁判断

定年後再雇用の賃金25%減額は違法・高裁判決が確定(最高裁判断)

定年後再雇用賃金を25%相当に減額は不法行為との認定

 北九州市の食品会社が定年を迎える社員に、再雇用(継続雇用)の条件として賃金を25%相当に減らす提案をしたのは不法行為にあたるとして、会社に慰謝料100万円の支払いを命じた福岡高裁の判決が確定しました。
 裁判長は再雇用について「定年前後の労働条件の継続性・連続性が一定程度確保されることが原則」との判断を示したものです。

 原告代理人の弁護士らによると、再雇用後の賃金引き下げを不法行為とした判決が確定したのは初とみられています。
 しかしまあ、25%、すなわち1/4まで減額するのは、なんともやり過ぎのような感が強いですね。

 判決によると、原告は2015年まで40年余り正社員として勤め、60歳の定年時は経理を担当し、月給は約33万円だったようです。被告は再雇用後に時給制のパート勤務とし、月給換算で定年前の25%相当まで給与を減額する条件を示していたようですが、原告が拒んだという流れです。

何の根拠もなく賃金を下げることは厳しい流れに

 定年後の再雇用時に、賃金を切り下げることが比較的一般的に行われていますが、何の根拠もなく賃金を下げることは不法行為という最高裁の判断が示されたことになります。
 今後の実務に大いに影響が及びそうです。

 当事務所でも顧問先には、「働き方が何ら変化が無いのに、賃金だけ切り下げることは今後許されなくなりますよ。」と警鐘を鳴らしておりましたが、この流れが確定的になったと捉えられます。

「在職老齢年金の年金カット」や「高年齢雇用継続給付」も昔話

 以前は「在職老齢年金の年金カット」や「高年齢雇用継続給付」があって、定年後の賃金を下げたほうが、会社の負担を減らして従業員の手取りをそんなに下げないことが可能でしたが、もはや昔の話です。
 今後は業務内容や責任度合い、労働時間減などとセットにして賃金下げを講じないといけませんね。

賃金は職務内容・責任・労働時間などと連動して見える化が必要

 また賃金の中身が、職務内容、責任の重さ、拘束する労働時間などと連動して、見える化されていないと、その後の説明に難を及ぼしそうです。早急に顧問先の内容の点検が必要です。最近点検事項が多くて、なかなか追いつきませんが。

高年齢者雇用安定法は65歳までの雇用確保措置を義務

 高年齢者雇用安定法は、65歳までの雇用確保措置として、定年制の廃止、定年の引き上げ、定年後の再雇用のいずれかを企業に義務づけています。
 再雇用の労働条件は法律で定められていないため、トラブルになることも多々あるようです。周りでは具体的に聞きませんが。
 これまでも「容認できないような低額の給与水準や、受け入れがたい職務内容は法の趣旨に反する」として、定年前と違う仕事を示したケースを不法行為とした判決があります。

横浜市の運送会社「長沢運輸」の最高裁判決に注目

 記憶に新しいのが、定年前と仕事が変わらないのに賃金が下がったとして、運送会社で働く運転手が、正社員と有期雇用の不合理な待遇差を禁じる労働契約法20条に反すると東京地裁に訴えた裁判です。
 一審は原告が勝訴しますしたが、二審・東京高裁判決は「再雇用で賃金が下がるのは一般的。2割前後の下げ幅は不合理とはいえない」と訴えを退けました。

 運転手側が上告し、2018年4月に最高裁で弁論が開かれる予定です。夏前にも判決が予想され、最高裁がどんな判断を示すかも注目されます。

朝日新聞:定年後の再雇用、賃金75%減は違法 高裁判決が確定

https://www.asahi.com/articles/ASL3X6GRSL3XTIPE03N.html

定年後の再雇用、賃金75%減は違法 高裁判決が確定

 北九州市の食品会社が定年を迎える社員に、再雇用(継続雇用)の条件として賃金を25%相当に減らす提案をしたのは不法行為にあたるとして、会社に慰謝料100万円の支払いを命じた福岡高裁の判決が確定した。佐藤明裁判長は再雇用について「定年前後の労働条件の継続性・連続性が一定程度確保されることが原則」との判断を示した。

 判決は昨年9月7日付。原告、会社双方が上告したが、最高裁が3月1日にいずれも不受理の決定をして確定した。原告代理人の安元隆治弁護士らによると、再雇用後の賃金引き下げを不法行為とした判決が確定したのは初とみられる。再雇用をめぐる企業の実務に影響しそうだ。

 判決によると、原告は食品の加工・販売を手がける九州惣菜(そうざい)(北九州市門司区)に2015年まで40年余り正社員として勤めた。60歳の定年時は経理を担当し、月給は約33万円だった。同社は、再雇用後は時給制のパート勤務とし、月給換算で定年前の25%相当まで給与を減額する条件を示したが、原告は拒んだ。

 高裁判決は、65歳までの雇用の確保を企業に義務づけた高年齢者雇用安定法の趣旨に沿えば、定年前と再雇用後の労働条件に「不合理な相違が生じることは許されない」と指摘。同社が示した再雇用の労働条件は「生活への影響が軽視できないほどで高年法の趣旨に反し、違法」と認めた。

 一方で、原告と会社が再雇用の合意に至らなかったことから、定年後の従業員としての地位確認や、逸失利益の賠償請求は退けた。
 一審・福岡地裁小倉支部は原告の請求をいずれも退け、原告が控訴していた。

朝日新聞:原告「会社のやりたい放題変えて」 再雇用で賃金大幅減

https://www.asahi.com/articles/ASL3Y7KPQL3YTIPE02C.html

 再雇用でも定年時の労働条件との「連続性」が必要だとして、賃金の75%カットは違法と認めた福岡高裁判決が確定した。原告の山本真由美さん(63)は30日、北九州市で会見し、「ほっとする半面、会社のやりたい放題の制度を変えてほしい」と訴えた。
 山本さんに喜びの表情はなかった。判決で勝ち取ったのは慰謝料のみで、再雇用で得られたはずの賃金の支払いなどは退けられた。

 勤め先の九州惣菜(そうざい)で60歳の定年を迎える際、フルタイムでの再雇用を希望したが、上司が示したのは定年前と同じ経理の仕事で、時給900円のパート待遇だった。月給換算で75%の賃金カット。「ショックだった。私はもう会社には要らないんだと思った」

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